私は住宅ローンを組んで家を買っているわけですが、稀に「住宅ローンは悪」という意見を聞きます。
どうやら、人気YouTubeチャンネルのオリエンタルラジオの「中田敦彦のyotube大学」でも、住宅ローンや自動車ローンはやってはいけない、とされているようです。
しかし私はそうは思いません。
今回はローンについての私の考えと、住宅ローンや自動車ローンは組んでも良いと思う理由を書いていこうと思います。
なお、あくまで私の考えではありますが、私はファイナンシャルプランニング技能士2級の資格を保有し、自ら資産運用をする個人投資家でもあります。
また、早稲田大学の心理学系の学部を卒業しており、経済とは少し違った切り口で考えていきます。
絶対に正しいわけではありませんが、一つの意見として参考程度にはなるのではないかと考えています。
住宅ローンや自動車ローンはやってはいけないとされている
「中田敦彦のYoutube大学」は、有益な情報が多いことから、非常に人気のあるYoutubeです。
私も全てを見たわけではないのでそれ以外のコメントは控えさせていただきますが、確かに説明は分かりやすく、トーク力もあります。
そんな動画の中で特に人気なのが、中田敦彦のお金の動画。
無駄な支出を削減した上で投資をして複利の力を活かす、という内容については賛成ですが、その中で自動車ローンと住宅ローンについても「やってはいけない」と明言されています。
変動金利等の理由も入れていますが、要するに「ローンというのは全て無駄なお金で、貸手による複利の罠に嵌っている」という話です。
「ローンは悪」には異論なし
私も基本的な考え方として、「ローンは悪」だと思っています。
金利と言うのは本来払う必要のないお金ですので、リボ払いやカードローン、キャッシング等を含む、利子や手数料がかかるものについては原則反対の立場です。
ローンと言うのはお金がない人が使うものではなく、将来に一定の収入が見込めるが、それを待つ時間がもったいないというお金に余裕がある人向けの制度だと考えています。
その場凌ぎのお金のために使うと、金利分は無駄ですし、自転車操業にもなります。
基本的には我慢してお金を貯め、キャッシュ(現金)一括で買うのが鉄則です。
しかし住宅ローンと自動車ローンだけは別モノだと思っています。(特に住宅ローンは特別)
基本的な考えは「ローンは悪」ですが、全てのローンが悪ではありません。
その理由については、後ほど細かく書いていこうと思います。
お金は人生を豊かにする要素の一つでしかない
住宅ローンや自動車ローンの話に入る前に、「そもそもお金って何だっけ?」という話をしようと思います。
お金は生きていく上で必要なモノですが、お金がたくさんあれば幸福で、お金がなければ不幸、というわけではありません。
お金は人生を豊かにする様々な要素の一つであり、「家族」「友人」「趣味」「生きがい」等、自分が幸福を感じるものを存分に満喫するための道具です。
つまり、お金を増やすことが目的になっている人は大きな間違いで、自分が幸福になる選択を続けながら、最大限お金を増やしていく必要があるのです。
そのためには、自分が幸福になるためにお金という道具を使う、と言うことも選択しなければいけません。
スポンサーリンク幸福になる選択を捨ててお金を増やしても仕方ない
お金を増やすことだけを考えれば、趣味なんてもっての外ですし、旅行は行くべきではありません。
子供は持たない方が良いし、広い家も必要ありません。
しかしそうして我慢に我慢を重ねて生きて、50歳で配当生活!となったとして、果たして幸福な人生だったと言えるでしょうか。
私も住宅ローンを組まずに複利で投資をすれば、65歳になる頃には1億円は優に超えると思います。
しかし65歳で、そのお金でローンを組まずに家やマンションを買うこともできますし、賃貸のままなら悠々自適な老後が送れるでしょう。
しかし果たしてそれは本当に幸福な選択なのでしょうか。
「幸福かどうか」と言う価値観は人それぞれですが、「家族と広い家で過ごしたい」と願う人にとっては、幸福な選択だとは言えないでしょう。
人生という単位で見た時に、健康で元気に体が動く時期はとても大切です。
支出を削減して投資を行うのは、お金を増やすことが目的ではなく、人生の中に幸福な時間をより多く作り出すことが目的であることを忘れてはいけません。
ローンは幸福な時間を買う行為
私は、「ローンは悪」と言いましたが、全て悪だとは思いません。
ローンは確かに、金利の分無駄な出費になりますが、しかしその分、目的のものを早く手に入れることができます。
例えば、車を買うのに5年ローンを組んだとします。
また、車のローン返済額と同じだけ投資し続ければ、4年間で達成できる金額だと仮定します。
ローンを組まなければ4年後にキャッシュ一括で買えるわけですが、例えばそれが30歳から34歳、子供と旅行に出かけたり、家族の思い出を作ったりする大切な時期だったとすると、果たして4年間先延ばしにすることは適切なのでしょうか。
もしくは、ローンを組まずに買えるボロボロの中古車を買って、浮いたお金を投資に回す、と言うのは幸福なのでしょうか。
繰り返しになりますが、お金を増やすことが目的になってはいけません。
自分の価値観に照らして、「そこまでは必要ない」と言うものにはお金を使わない方が良いですし、反対に「自分の人生を豊かにしてくれるもの」にはお金を使うべきだと思います。
スポンサーリンク投資したお金は人生から切り離される
「投資は余剰資金で行う」というのは、耳にタコが出るほど言われることです。
本来は大事なお金や生活費まで投資してはいけない、という意味ですが、「徹底的に生活を切り詰めて入金力を上げる」という考え方にも使えるのではないかと考えています。
お金は幸福になるための道具ですので、たとえば「兎に角節約して、収入の8割を投資に回して、15年でFIRE(早期退職)」という考え方には賛同できません。
それはお金がなくても幸福を味わえる一部の人間だけが取り得る手段であって、「臥薪嘗胆」と言いながら、若い頃の大切な15年を耐えるような人生を送るのは、おすすめできません。
投資をしたお金は拘束されるため、人生から切り離されます。
複利の力を活かすなら、キャピタルゲインもインカムゲインも、自分の贅沢のために使ってはいけません。
全て再投資です。
例えば、25歳から40歳まで旅行も趣味も全てを我慢し、子供も作らず、収入の2割を残して投資。
40歳で仕事を辞め、その後は不労所得で生きていく。
それって本当に幸せなのでしょうか?
金利と、「ローンで手に入れる時間の価値」の検討が重要
私も「ローンは悪」という考え方は根本にありますが、それは金利と目的の重要性とのバランスを考えてのことです。
例えば、「ブランド物のバッグを買うためにキャッシングをする」「海外旅行で使ったお金をリボ払いにする」と言うのは、絶対にNGです。
キャッシングやリボ払いは金利が高く、損失が大きいことに加え、買い物や旅行は得る時間の価値が低いと考えます。
これは決して、「買い物や旅行は無駄な時間」と言っているわけではありません。
買い物や旅行に必要なお金は数ヶ月〜1年間、我慢して節約すれば生み出せる金額です。
その数ヶ月〜1年間のためにローンを組む、と言うのは反対です。
そのくらいの時間的メリットであれば、ローンを組まずに貯蓄すべきです。
また、将来が不透明である以上、安易に借金をすると返せなくなるリスクもあります。
簡単な理由でリボ払い等を利用すると、その癖が抜けず、永久に金利の地獄から抜け出せなくなります。
住宅ローンは特に例外
ローンは極力組まない方が良いですが、住宅ローンだけは、特別例外です。
住宅ローンを支払わず、その分を複利の力で増やそうとしても、賃貸なら家賃分がかかるので、入金力は極端には上がりません。
仮にうまく運用して、その35年ローンのところを20年で貯めたとしても、そのお金で買ったマイホームは、自分の人生における価値は小さくなっています。
例えば私は30歳で、2歳の子供がおり、35年の住宅ローンを組んでいます。
仮に20年で住宅購入資金分のお金が貯まったとして、自分が50歳、子供が22歳になっています。
そんな年齢でマイホームを買ったとして、何の意味があるのでしょうか。
それなら別荘を買ったり、老後に海外旅行に行ったりしますが、それはローンの良し悪しではなくマイホームの良し悪しなので、もはや別の話(価値観の話)です。
「住宅は資産ではなく負債」と言うのは正しいですが、そもそもマイホームは売るつもりもないですし、自分が死んだ時に価値がゼロになっていても、死んだ後なので知った話ではありません。
上物を取り壊すのは200万円〜300万円かかりますが、土地がそれ以上の価格であれば、残された子供に迷惑がかかることもありません。
もちろん、だからと言ってただ何もせず借金を返し続けるのが正しいとも思いません。
住宅ローンは圧倒的な低金利(我が家は0.45%)に加え、13年間残高の1%が帰ってくる住宅ローン控除等、お得な制度がたくさんあります。
これらをフル活用しながら資産運用をすれば、ローンでありながら「借りた方がお得」と言う状態を作ることができます。
参考記事 : 住宅ローンは借りれば借りるほどお得?理由を解説
参考記事 : 月10万円の住宅ローン返済資金で投資信託(インデックスファンド)を積み立て!成果は?
自動車ローンの是非は地域や突発性にもよる
ローンの中でも住宅ローンと自動車ローンは例外、と書きましたが、自動車ローンは住宅ローンほど例外ではありません。
自動車であれば、貯めて現金一括で買う、ということも可能な金額です。
私も自動車については、現金一括で購入しています。
「それは収入があるからじゃないの?」と思われるかもしれませんが、ローンを組んでも組まなくても、結局払うお金は一緒なので、生活にいっぱいいっぱいで貯蓄に回すことができない、というのは理由になりません。
今払っている自動車ローンを、ローンを組んだと思って貯蓄すれば、金利分を払わずに済みますので、厳しいことを言えばそれは計画性の問題です。
とは言え、自動車がないと生活できない地域もあるので、引っ越しや車の故障等で、自分のタイミングでなく買わなければいけなくなることもあります。
そんな時にお金に余裕がなければ、自動車ローンを組まざるを得ないでしょう。
また、年齢を重ねることで収入も上がるので、「若い時の幸福な時間を買う」という目的で自動車ローンを組むのは悪いことだとは思いません。
例えばそう言う理由で、大学生が自動車ローンを組む(もちろん安い中古車で)、というのも、それでたくさんの思い出が作れるのであれば、絶対にNGだとは思いません。
マイホームや車を持つ事に幸福を感じるかは人それぞれ
もちろん、マイホームを持つことに価値を置くかどうかは、人によって違います。
「家なんかいらないよ、賃貸で十分」と考える人には、住宅ローンの話は関係ありません。
それほど欲しくなものを買うのは無駄ですし、ましてや住宅なんて金額のものを買う必要はありません。
人それぞれ、自分が思う価値のあるものにお金を使えば良いだけですが、「自分が何に幸福を感じるのか」が分からない人は、不幸だと言わざるを得ません。
誰が何に幸福を感じようと、他人に迷惑をかけない限りは関係ありませんから、マイホームに「夢」を感じる人を否定する権利は誰にもありません。
「マイホームが欲しくなること自体が業界の罠」と考える方がいるかもしれませんが、資本主義経済においては、全てが何らかの意図や目的が絡んでいます。
「マイホームは人生の夢だよ!」と言うイメージは、確かにハウスメーカーや住宅業界の意図したものですが、それはただのイメージ戦略で、そんな事はどこの企業でもやっています。
それが詐欺まがいのものであれば糾弾されるべきですが、マイホームを持つことは、私にとっては間違いなく幸福でした。
私は賃貸の時と比べて日々幸福を感じていますし、支払うお金の価値はあると感じています。
マイホームにどれだけの幸福を感じるかは個人差がありますが、私のように「人生を幸福にする買い物」という感情を抱く人も少なからずいるはずです。
「マイホームでも賃貸でも同じ」と感じる人もいれば、「マイホームがあって幸せ」と感じる人もいます。
それは個人の自由ですが、マイホームに価格相応の幸福感を感じる人であれば、ローンを組むことは悪でも失敗でもありません。
少なくとも私はローン金利や価値の漸減を理解した上で、マイホームを持って良かった、「私の人生は一段と幸福になった」と感じています。
このブログを読んでいる方にとって、マイホームはお金の無駄で、幸せと感じないかどうかは、実際のところブロガーにもYouTuberにも分からないのです。
変動金利への対策
変動金利はリスクがある、というのは事実です。
リスクが許容できないのであれば、固定金利という選択肢もあります。
今の世界経済、日本経済を考えると、金利が一気に上昇することはないと考えているので、私は変動金利を選択しました。
しかし未来のことは誰にも分からないので、次の二つのうちどちらかの対策を講じておく必要があります。
①繰上げ返済できる資産を貯めておく
万が一、住宅ローンの金利が跳ね上がったとしても、その時に繰上げ返済できる資金があれば問題ありません。
そのために、私は夫婦で年間120万円ずつ、繰上げ返済用の資金を用意しています。
しかしながら、繰上げ返済用の資金は「いざと言う時」のためのもので、実際は繰上げ返済をしません。
ローンは悪、金利は悪だと言いましたが、それでも金利を払い続けても繰上げ返済しないのには理由があります。
それは、住宅ローンは0.45%の超低金利だからです。
0.45%しかかからないのであれば、繰上げ返済せずに投資をした方が間違いなくパフォーマンスが出ます。
そして投資するよりもパフォーマンスが悪くなるような高金利になった時に、一気に繰上げ返済すれば良いのです。
以下の記事に詳しく書いていますが、住宅ローンの金利を考えると、住宅ローンは極力長く、極力たくさん借りて、その分投資に回すべきだと考えます。
頭金も浮いたお金も、繰上げ返済せずに投資すべきです。
参考記事 : 住宅ローンは借りれば借りるほどお得?理由を解説
②固定金利に乗り換えるデッドラインを決めておく
しかし、繰上げ返済分を貯める余裕がない方もいるかもしれません。
また、私のように月10万円投資に回したとしても、金利上昇時に安心できる程度にお金が貯まるのには、数年はかかります。
その間に金利が跳ね上がった場合、固定金利に乗り換える対策が有効です。
変動金利でローンを組んでいても、乗り換えて固定金利に変えることができます。
乗り換えには手数料がかかりますが、損失を出してでも、返済が焦げつく前に固定金利に乗り換えるのは有効です。
それには、自分の金利が何%になったら固定金利に乗り換えるのか、金利が何%以上になったら返済が困難になるのか、それを予め考えておくことが必要です。
感想、まとめ。節約してお金を貯めて、その先にあるものは?
住宅ローンを含め、基本的に「お金を借りる」というのは損なことです。
しかし、ローンは時間を買う行為であり、必ずしも全てが無駄ではありません。
特に住宅ローンについては、余程のお金持ちでなければキャッシュ一括で購入することはできませんし、コツコツ投資しても、その分のお金を貯めるには何十年とかかります。
「マイホームは賃貸と比べてモノが残るから資産のように感じるが、家は資産ではなく負債」という意見はよく言われますが、それには同意です。
しかし私は、賃貸で暮らす人に30年後、「ほら、あなたは家賃を払うだけで何も残らなかったけど、私は家が残った」などと言うつもりは毛頭ありません。
言うとしたら、「私はこの家に数千万のお金を使ったけど、その分の幸福を私に与えてくれた」という話だけです。
マイホームは投資対象ではありません。
マイホームも賃貸と同じように、お金は消費しているだけですが、少なくとも私は「マイホームが与えてくれる幸福」には、その金額以上の価値があると感じています。
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