FIREを目指すためには、仕事を頑張らなければいけない、というと矛盾があるように聞こえます。
「仕事を頑張る」というと語弊があるかもしれませんが、スキルを磨いて自分の市場価値を高める、ということです。
しかしどうせ仕事を辞めようとしているのだから、なるべく力を抜いて働かずにいよう、という考えもあるかもしれません。
確かにそれも一理ありますが、FIREを目指すにあたっては遠回りになると考えます。
仕事を辞めたいのに仕事のスキルを上げる必要がある
世の中は皮肉なことに、仕事を辞めるためには、仕事ができる人間にならなければいけません。
具体的にいうと、様々なスキルを磨いたり、仕事で成果を残したりして、昇給することこそ、FIREの第一歩なのだと考えています。
場合によっては転職して給与を上げる、ということも選択肢の一つかもしれません。
いずれにせよ、スキルを磨かなければ転職もできません。
もちろん、そうではなく「副業をして稼ぐ」という方法もありますが、本業と副業は並行して行うことができます。
しかし私が思うに、本業を効率よくこなす「できる人間」ほど、副業でも成功している気がします。
25歳でつみたてNISAをやっている知り合いがいる
私がこれを考えるきっかけになった話をします。
私の知り合いで、25歳で年収300万円ちょっとの人がいます。
その人はFIREを目指し、こつこつとつみたてNISAをやっています。
若くして資産形成の意識があり、挑戦できる環境は非常に羨ましく、まさに「戻れるなら戻りたい」という感覚です。
しかしこの知人はキャリアアップを図るか、副業で成功を収めない限り、現在の私と同じ年齢になった時に、私の資産を超えることはできません。
現在の収入では月3.3万円のつみたてNISAが限界
25歳で資産形成を始めているという羨ましい状況の知人ですが、投資額は月約3.3万円、つみたてNISAの限度額である年間40万円です。
現在の給与では月3.3万円のつみたてが限界で、昇職できなければあまり給与も上がりません。
しかし複利の力は凄く、月3.3万円でも、何十年とつみたて続ければ非常に大きな金額になります。
3.3万円であっても、複利計算をしていけばかなりの収益になりますが、それでも早く昇職・転職して入金力を上げることが重要となってきます。
5%複利で15年運用すると、8,777,238円(+約47%)
たとえば、このままつみたてNISAを続け、毎年5%複利で成長していったとします。
これを25歳から開始したとして、15年間続けると、40歳の時に資産は8,777,238円(+47.8%)となります。
年40万円 × 15年間 = 600万円なので、約278万円儲かっていることになります。
600万円に対して278万円であれば非常に大きな利益です。
しかし、いくら投資対効果が大きかろうと、FIREを目指すという概念においては、「40歳の時に877万円の資産がある」以上の意味を持ちません。
スポンサーリンク積立額に対して利益は大きいが、878万円の余裕資金がある40歳と土俵は同じ
つまり、25歳から毎年つみたてNISA満額をコツコツ積み上げ、878万円の資産を築いた人と、何の資産運用も行わず、なんとなく878万円の貯金がある人は、同じ土俵に立っていると言えます。
もちろん、つみたてNISAでコツコツ積み上げてきた人の方が、少ないお金で877万円を達成していますし、そちらの方が正しい選択肢であることは間違いありません。
しかし、現在だけに視点を置けば、「878万円の資産のある40歳」という状態に違いはありません。
月5万円貯められれば、タンス預金であっても、5万×12か月×15年=900万円貯めることができます。
月3万円のつみたてNISAを25歳から40歳まで続けた人と、5年間月5万円貯金した人とでは、40歳時点では同じです。
複利の力は大きいですが、同時に入金力を上げることが、いかに重要かが分かります。
仮にタンス預金で878万円を貯めた人が、これから投資を始めたとしたら、15年間つみたてNISAをしてきた人と同条件になります。
これまでの投資経験によるノウハウがある分、長年資産運用してきた人の方が有利ですが、入金力が違えばその差はひっくり返ります。
ここで言いたいのは、早くFIREをしたいのであれば、入金力を上げる、つまり仕事を頑張って昇職・昇給することが大切です。
(もしくは副業で成功を収めるか)
それを更に運用することで、より早いスピードでFIREを目指すことができるのです。
「自分を労働市場で運用する」という考え方も必要
働いてお金を稼ぐ、という言葉を言い換えると、自分という資本を労働市場で運用する、と言うことができます。
生まれながらにしてお金を持っている人は少ないため、労働市場で「自分」を運用し、お金を生み出す必要があります。
そこで、労働市場における自分の価値を高めることにより、運用効率を上げれば、同じ時間でより多くのお金を生み出すことができるようになります。
金融市場で運用を開始する前に、労働市場で運用していると考えれば、労働市場における自分の価値を高める必要があることが分かります。
そのためには、会社で成果を残して昇職する他、資格やスキルを獲得して転職する等、努力する必要があります。
労働から脱却するために労働を頑張らなければいけないという、本当に嫌な話です。
スポンサーリンク我々は「投資」を知っている
労働収入を上げる努力をすることと、投資によって資産形成をすることは、同時に行うことができます。
幸いこのブログを読んでいる人の多くは、資産形成の方法を知っています。
だからこそ、早い時期に労働収入を上げることが、いかに重要か分かると思います。
基本的にサラリーマンは、余程のことがない限り一度上がった給料が下がることはありません。
つまり、若いうちに資格を取得したり、転職したりして給与を上げることで、その後継続的にその恩恵を受けることができます。
更にその増加分を丸々投資に回すことで、複利の力をさらに活かすことができます。
たとえば、資格を取得して3万円給与(手取り)が増えたとすると、それは月3万円の積み立て投資を行う権利を得たのと一緒です。
複利の力の大きさを知っているからこそ、早いうちに基礎給与を上げることの重要性が分かると思います。
感想、まとめ。労働市場での運用効率を高めるのが第一歩
入金力を高めるためには、本業の給与を上げるほかに、副業を行うという選択肢もあります。
しかし土日や夜間にアルバイトをする、というような、「労働時間を増やす」タイプの副業は、FIREを目指す人の価値観とは合わないと思います。
Youtuberとして活動したり、スキルをクラウドソーシングで販売したりするような副業であれば、自らの成長にも繋がりますし、サイドFIREへの第一歩にもなるので、おすすめです。
しかしそういった自らのスキルを必要とする副業は、成功するまでに時間がかかること、成功できるか分からないことを考えると、まずは自分の労働市場における価値を高めることと並行しながら行うべきです。
FIREを夢見る人にとって、仕事先で評価を得ることに対してモチベーションを保つのは容易ではないかもしれません。
しかし会社で良い評価を得て、給与が5,000円アップしたなら、毎月の積立額を3,500円増やしてみてください。(所得税・住民税で30%程度と仮定)
ボーナスが出たなら、その金額分をインデックスファンド購入に充ててみてください。
そうやって「自分が頑張ったことに対する成果」を目に見える形で投資に回すことで、会社での努力がFIREへ繋がっている実感を得ることができます。
「そのお金が複利のレールに乗っていく」ということを知っている我々が貰う給与は、他の人が貰う給与よりもずっと大きな価値を持つのです。
そう考えると、会社からの給与を上げる努力をすることに対しても、モチベーションが上がるかもしれません。