「FIREしたい」とはどういう意味?FIREの定義について考察する

FIREの定義とはどのようなものでしょうか?

例えば、「自分が経営している会社がうまく回っていて、もう自分は働かなくてもお金が入ってくる」という状態はFIREと言うのでしょうか。

 

仕事をしなくても良い、というような状況には変わらないかもしれないですが、金融資産と異なり、この状態は理論上資産が枯渇しない、という状態ではありません。

改めてFIREの定義について考えてみました。

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FIREの定義について考える

炎のイラスト

FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の略で、日本語では「経済的自立と早期リタイア」という意味になります。

FIREを読み解くためには、FI(Financial Independence)とRE(Retire Early)に分けて考える必要があります。

 

言葉だけ聞くと、FIの方がややこしく、REの方が単純明快な気がします。

しかし実際はREの方もそう単純ではなく、ややこしい話になってきます。

FI(Financial Independence)の定義について考える

資産形成のイラスト

FIREのFIである、「経済的自立」とはどういう意味でしょうか。

「経済的自立」を目指すというくらいですから、多くの人間は経済的に自立していない状態だと言うことが分かります。

 

一般的なサラリーマンは会社から給与を貰わなければいけないので、自立はしていません。

経営者も会社からお金を貰っているので、経済的自立はしていませんが、個人事業主やフリーランスの方はどうでしょうか。

会社からお金をもらわず、自分の力で稼いでいるので、これは経済的自立していると言えるのでしょうか。

 

おそらく、フリーランスでお金を稼いでいる人に対して、「経済的自立(FI)を達成した」と表現する人はいないと思います。

消費者からお金をもらい、お金を「稼ぐ」必要がある状態では、経済的自立とは言えないと考えられます。

RE(Retire Early)の定義について考える

退職を考える男性

REの定義については、サラリーマンにおいては単純です。

会社に辞表を提出して、いわゆる「脱サラ」をすれば、早期退職(Retire Early)と言えます。

 

しかし、会社を辞めてYoutubeで食べていく!という場合はどうでしょうか。

この場合、早期退職ではありますが、FIREでいうRE(Retire Early)とは意味が違いますよね。

会社をやめるだけなら脱サラですから、労働から脱却しているわけではありません。

Youtube動画を作るのも立派な労働であり、FIREにおいてREできているとは言わないでしょう。

年間支出の25倍の金融資産を持って退職するのがセオリー

株券のイラスト

FIREの基本的な考え方としては、年間支出の25倍の金融資産を用意すること、があります。

 

これは金融資産をS&P500インデックスファンド等で運用し、4%ずつ取り崩した場合、理論上ほとんどの確率で資産が尽きない、というものです。

4%ずつ取り崩して資産が尽きないのであれば、使うお金の25倍あれば、金融資産運用だけで生きていけます。

 

この考え方が、世間一般に言われる「FIRE」の最もオーソドックスな手法になります。

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「不労所得(金融資産以外)の仕組みを作って退職する」のはFIREか

比較する男性

さて、改めてFIREの定義の話に戻ろうと思います。

上記で紹介したように、S&P500等のインデックスファンドで資産運用をし、4%ルールに基づいて生きていくことだけがFIREなのでしょうか。

もちろんそうではありませんが、現状考えつくFIREの方法はこのルールに則る他ないような気がします。

 

ここで考えなければいけないのが、金融資産運用による収益で生きていかなければ、FIREとは言えないかどうか、という問題です。

これについては非常に微妙ですが、基本的には私は「Yes」だと考えています。

 

たとえば過去に投稿したYoutube動画が放っておいても収益を生み出すようになったとして、その収益で生活している人を「FIRE」と言うかどうか、という問題です。

不労所得だけではFIREとは言えないと考える理由

FIREの4%ルールにおいて大事なのは、「資産が尽きない見込みがあること」です。

極端な例を出すと、日本の国債に投資し、年間10%ずつ取り崩したら、10年と数ヶ月で資産は枯渇します。

では、資産が枯渇するまでの10年間はFIREしていたかと言うと、全くFI(経済的自立)していないですよね。

 

あくまで「生涯」「高確率で」「自分に必要なお金(支出)を生み出し続けるマシーン」でなければ、経済的に自立しているとは言えません

この事から、現時点でほぼ不労でお金を生み出す装置、現在は収益を生み出し続けているYoutubeアカウント等を持っていても、客観的に「生涯に渡って収益を生み出すこと」と言えない以上はFIとは言えないと考えます。

生涯に渡って収益を生み続けるビジネスモデルかどうかなんて、誰にも分からないですよね。

 

客観的に、生涯にわたって安定した収益が期待できると判断できる状態は、金融資産でなければ作り得ないと思います。

また、いくら楽をして稼げると言っても、事業による収入に頼っている以上は、REとは言えないでしょう。

事業による不労所得があったとして、その所得で金融資産を築き上げ、年間支出の25倍に達成して初めて、FIREと言えるのではないでしょうか。

労働市場から金融市場へ移行してこその「FI」ではないか

投資戦略を練る男性

我々がお金を稼ぐ手段は、労働市場で人的資本を運用する(汗水流して稼ぐ)か、金融市場で金融資本を運用して稼ぐか、この2つしかありません。

FIREにおけるREは、脱サラすることではなく、この「労働市場からの脱却」が大切だと思います。

 

労働市場である限り、不労所得の仕組みを作ってもその持続性を客観的に計ることはできません。

自らが構築した不労所得の仕組みだけで生計を立てる行為は、資産運用で言えば分散投資をせずに一点集中しているようなもので、リスクが大きいです。

リスクが大きい状態では経済的に自立しているとは言えないでしょう。

 

つまり、金融市場で分散投資し、生涯に渡って安定的に収入を得ていく仕組みを作ってこそ「FI(Financial Independence)」と言えるのではないかと考えます。

言い換えれば、現状それ以外で「FIRE」を達成する手段はないのではないか、と考えます。

 

言葉の定義なので、労働市場による収入を楽に稼いで生きている人は、正直に「羨ましい」です。

別にFIREでなくても、そういった生き方で十分目的は達成されます。

しかしそれを「FIREという言葉で表しても良いか」と言われると、やはりそれには違和感を覚えます。

目指すは労働市場における人的資本の運用を一切必要としない状態

FIREを達成した状態の人は、経済的に自立しているわけですから、お金のために時間を使うようなことはしません。

保有する金融資産の増減を気にしない、とまでは言いませんが、資産が増えようが減ろうが生活には影響がないとし、特別な対策は講じません

なぜなら資産運用で年平均4%の成長が見込める、というだけであり、マイナス10%の年もあれば、プラス20%の年もあるのですから、資産が減っても肝を据えておくだけです。

 

しかし労働市場における不労所得で生活している場合は、収入が減れば焦ります。

資産があるわけではないので、収入の減少は生活の質に直結しますし、何らか対策(新たな収益源の創出等)を講じなければいけません

 

そう考えていくと、やはり労働市場で収益を得ている限り、経済的自立(FI)を達成しているとは言えないのではないかと考えます。

経済的自立とは、お金の呪縛から生涯脱却することを目指すのですから。

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セミリタイアとサイドFIREは異なる

ハンモックで昼寝

少しだけ働きながら、自由な時間を作ることを「セミリタイア」とか「サイドFIRE」と言ったりしますが、これまでの考えによれば、この二つは少し異なります。

 

セミリタイアはどのような形であれ、労働時間を減らし、ゴールへ向かえれば良いのに対し、サイドFIREは金融資産と労働を組み合わせて行います。

セミリタイアが最終的に完全リタイアを目指すものに対し、サイドFIREは完全FIREを目指します。

完全リタイアはFIREにおけるRE(Retire Early)部分に過ぎず、FI(Financial Independence)を達成しているかどうかは問いません。

 

つまり、サイドFIREはセミリタイアの十分条件である(セミリアイアの一部にサイドFIREがある)と言えます。

感想、まとめ。FIREの定義もこれから変化していく?

お金を育てる人のイラスト

今回はFIREの定義について考えてみました。

あくまで考察なので、この記事が正しいというわけではなく、一緒に考えるきっかけになれば良いと考えています。

 

FIREという言葉は響きがよく、使いたくなりますが、ただのセミリタイアやリタイアとして使うのは少し間違っている気がします。

私は資産運用でなければFIREではないと考えますが、これはあくまで、現在の社会で「安定的に」「長期に渡って」収益を生み出すと、「理論に基づいて」「客観的に」判断できるものが資産運用しかないと考えるからです。

もしも他に上記を満たす方法があるのであれば、それもFIREだと思います。

しかしFIREはまだまだ日本では使われはじめたばかりの言葉ですので、これからもっと明確に定義されていくのかもしれませんね。

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