ペアローン・連帯債務で住宅ローン控除を最大限受ける計算方法

我が家は住宅ローンを連帯債務で借りる予定です。

連帯債務についての詳しい説明はここでは割愛しますが、簡単に言うと、住宅の持分割合を決めることで、住宅ローン控除を2人で受けることができます。

我が家は夫婦共働きなので、住宅ローン控除を最大限受け取りたかったためです。

 

しかし、妻との負担割合を決めるにあたって、最大限得する割合はどうやって決めれば良いのでしょうか?

 

今回はペアローンや連帯債務で住宅ローン控除の負担割合を計算するために、私が行った計算方法をご紹介します。

この計算方法を行えば、精緻ではありませんが、大まかに割合を決めることができると思います。

 

なお、この記事は私のメモであり、税制度の変更等により変わっている可能性もありますので、ハウスメーカーの方に相談しながら決めるようにしましょう。

また、この計算ではエクセルを使いますので、エクセルの四則計算(足し算・引き算・掛け算・割り算)くらいができないと厳しいと思います。

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住宅ローン控除の最大額を確認しよう

重い住宅ローン

まず、前提となる住宅ローン控除の金額を確認しましょう。

住宅ローン控除は、最大で年間40万円還付されます。

 

しかしこれはあくまで、最大限受け取った場合です。

住宅ローン控除は必ず40万円還付されるわけではなく、次の3つのうち最も高い金額が還付されますので、ご注意ください。

 

  1. 住宅ローン残高の1%
  2. 所得税+住民税(最大135,000円)
  3. 400,000円

ペアローンや連帯債務でも得をしない人

ペアローンや連帯債務でローンを組むと、住宅ローン控除の受けられる額を多くすることができる場合があります。

 

しかし次の2つの場合、連帯債務やペアローンにしても住宅ローン控除は得しませんのでご注意ください。

その場合はむしろ、ペアローンよりも単独でローンを組んだ方が得になることすらあります。

 

詳しくはこの後書きますが、簡単に言うと、①収入がどちらか一方にしかない場合、②借入額が少ない場合、は、連帯債務やペアローンを組んでも得をしない場合もあるのです。

(お金の観点だけで言えば、ですが)

①:妻(夫)に収入がない場合

まず、どちらか一方にしか収入がない場合には、連帯債務やペアローンにしても得はありません。

住宅ローン控除は所得税や住民税から還付されるものなので、扶養に入っており、所得税や住民税を納めていない場合は、住宅ローン控除を適用できる課税所得がありません

 

この場合、連帯債務やペアローンにすることで、かえって住宅ローン控除の金額を分散させてしまい、損をすることがあります。

②住宅ローンの残高が400,000円以下で、単独の還付額の方が多い場合

住宅ローン控除の限度額は400,000円なので、400,000円までであれば単独ローンでも満額返済を受けることができます。

たとえば最大300,000円の住宅ローン控除を受けられる人が、連帯債務やペアローンにして半々に分けたとしても、夫と妻で150,000円ずつのローンとなるだけですので、得はしません。

 

もちろん、連帯債務やペアローンは住宅ローン控除のためだけに行うわけではありませんが、住宅ローン控除の観点だけではこの場合も得をしないケースです。

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住宅ローン控除を最大限受けるための計算方法

家計簿をつける女性

さて本題ですが、夫婦共働きで、連帯債務やペアローンの方が住宅ローン控除を多く受けられる場合、割合はどれくらいにすればよいのでしょうか

もちろんこれは収入や控除額等によって大きく異なるのですが、ざっくりと目安を計算する方法をご紹介します。

 

このやり方ではエクセルを使用しますので、ご準備ください。

(数式が使えれば、フリーソフトでもOKです。)

 

エクセルの知識はそれほど必要なく、セルの引用、四則計算ができれば問題ありません。

まず全体像を貼っておくので、これを見ながら以下の詳細説明を読んでいくと分かりやすいと思います。

住宅ローンの負担割合の計算

 

なお、記載されている金額はあくまで例なので、私が借り入れた金額とは関係ありません。

①:総返済額を確認しよう

まずは総返済額の確認です。

まずエクセルの上のところに、「借入金額」「総返済額」「利率」「返済額」の4つの行をを入れます。

住宅ローンの総額と利率

返済額は月額で記入しますので、ボーナスでも返済する場合は、年間返済額を12カ月で割った金額を入れておいてください。

 

なお、ここで入力したもののうち、計算に使用するのは「総返済額」と「返済額」だけですが、どのような条件で計算したのかを書いておかないと、後で訳が分からなくなります。

 

ハウスメーカーから見積もりが出ている場合は、見積書をそのまま使用します。

まだハウスメーカーから見積もりを貰っていない方は、以下のシミュレーションサイトで簡単に計算できます。

外部リンク : 住宅ローンの返済額簡単シミュレーション

 

本当は利率や借入金額、返済額を変えると「総返済額」も変わるようにしたいのですが、それをやると計算式が複雑になるので、省略します。

②:負担割合を決めよう

次は夫と妻の負担割合を決めます。

この負担割合を調整しながら、どの割合が一番得かを考えていくことになります。

 

まず、夫の負担割合のところに、「70%」と入れてみましょう。

これは後から変更するので、とりあえず置きでオッケーです。

夫婦の負担割合

そして妻の負担割合のところに、「=1-【夫の割合】」と入れます。

これで妻の割合は、自動的に30%となるはずです。

 

そして金額欄には、それぞれ「=【夫の割合】*【総返済額】」「=【妻の割合】*【総返済額】」を入れておきましょう。

住宅ローンを申請する書類には、この金額を見ながら書いていくことになります。

③:住宅ローン残高の推移を計算しよう

次は、住宅ローン残高がどのように減っていくかを計算していきましょう。

住宅ローン控除が10年の方は10年目まで、13年間受けられる方は13年目までセルを伸ばします。

住宅ローンの年別総残高

金額の部分には、①で計算した「総返済額」を使用します。

たとえば1年目の欄には、「=【総返済額】-(【返済額】*【残り月数】)」を入れます。

 

式で見ると訳が分からなくなりますが、ローン残高から返済した金額を引いているだけです。

そうすれば、その年の住宅ローンの残高が分かりますよね。

 

なお、1年目だけは注意が必要で、例えば5月から住宅ローンの返済を開始する場合、返済期間は8か月分なので、【残り月数】は8になります。

 

そして2年目には、「=【1年目の残額】-(【返済額】*12)」を入れ、あとは以下同様です。

要するに、前の月の残高から、その年に返済する金額を引いていく、ということです。

 

この残高の1%が住宅ローン控除の最大額ということになるので、この金額が40,000,000円を超えている分については、単独ローンでは無駄になってしまいます。

④それぞれの住宅ローン残高を計算しよう

先ほど、③で計算した住宅ローン残高を、夫婦でそれぞれ割り振っていきます。

割合は①で設定したものを使用しますので、「【1年目の住宅ローン残高】*【夫の負担割合】」で、夫の住宅ローン残高が出ます。

夫の住宅ローン残高

▲70%を掛けた、夫の住宅ローン残高。妻も同様に計算。

 

2年目以降も同様に掛け算していき、10年分、もしくは13年分計算します。

ここで計算した夫婦の住宅ローン残高に、1%をかけたものが、夫婦それぞれの住宅ローン控除の最大額になります。

 

そのため、割り振っても40,000,000円以上の残高がある場合は、この時点で無駄が確定します。

⑤収入から、所得税と住民税を計算しよう

次は、将来支払うであろう所得税と住民税を埋めていきます。

この所得税と住民税の予測が一番難しいです。

 

まず、お手元に「源泉徴収票」と住民税の「特別徴収税額の決定通知書」をご用意ください。

エクセルの行にはそれぞれ「所得税」と「住民税」の欄を作っておきます。

所得税と住民税の計算

▲画像は夫のもの。同様に妻も計算する。(数式はコピペでOK)

 

「所得税」の行の1年目には、源泉徴収票の「源泉徴収税額」を参考に、その年の収入から調整した金額を入れておきましょう。

もし、住宅ローン開始後の収入も、昨年度と変わらない場合、昨年度の源泉徴収票の「源泉徴収税額」をそのまま入れておけば良いです。

「源泉徴収税額」が住宅ローン控除の対象となる所得税額(源泉徴収なので予測値)になります。

 

2年目以降の金額については、累進課税であることを考慮しながら、税額の予測値を入れていきましょう

この部分の予測は難しいので、先輩社員に聞いてみるか、googleで「年収〇〇万 所得税」と検索すると、およその目安が出ると思います。

 

私の例で、画像の中で赤字で書いたのは、「ここで昇給する」というものを勝手に予測しました。

この辺りは予想の域を出ないので、正確に計算することは不可能です。

 

住民税については単純で、「特別徴収税額の決定通知書」にある、「差引納付額」という欄を確認します。

この金額が135,000円より大きい場合は「135,000円」を、それよりも小さい場合は「差引納付額」をエクセルに記入します。

135,000円以上の場合はそれ以降の計算も必要ありませんが、135,000円よりも小さい場合は、所得税と同じく、今後の収入の伸びを加味して計算しましょう。

⑥住宅ローン控除の金額を計算しよう

ここまでで、必要な情報は全て揃いました。

言葉で表すと、④で計算した「夫婦それぞれの住宅ローン残高×1%」か、⑤で計算した「予特税額+住民税額(最大135,000円)」か、400,000円のうち、最も低い金額が住宅ローン控除の対象となるのです。

 

ここではじめて関数が出てきますが、min関数を使用し、この中で最も低いものを入れます。

関数を使うのは最初で最後なので、ご安心ください。

 

所得税と住民税の計算

先程載せた画像と同じですが、上記エクセルの水色セル部分に以下の数式を入れます。

=MIN(MIN(400000,【所得税】+【住民税】),【夫婦それぞれの住宅ローン残高】*1%)

 

簡単に言えば、「400,000」、「所得税+住民税」、「住宅ローン残高の1%」のうち、一番小さいものを教えて、という数式です。

1年目の場合は「1年目の所得税」と「1年目の住民税」、「1年目の住宅ローン残高」を使って計算し、以後同様に計算します。

⑦夫婦の負担割合を変えて、お得か計算してみよう

最後に、⑥で計算した夫婦それぞれの「控除額」を足し合わせます。

この金額が、夫婦で見た「世帯の住宅ローン控除額」になります。

世帯の住宅ローン控除額

▲この例では、夫70%、妻30%にした場合、総額は6,072,016円の控除になる。

 

基本的には、この金額が最大になる割合を決めていけば良いのです。

 

②で作成した負担割合部分の「夫の割合」のパーセントを変更すると、世帯の控除額が連動して変更されます。

そのため、少しずつ負担割合を修正していき、何%が一番控除額が大きいのか?という計算をしましょう。

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様々な可能性を考慮する

以上で、連帯債務やペアローンにおいて、最も得になる住宅ローンの割合計算は終わりです。

 

この計算の中で最も難しいのは、将来の収入の予測です。

収入が変われば住宅ローン控除を受けられる金額も変わってくるので、非常に大きな変動値となります。

お金で悩む夫婦

 

しかし自分の出世速度は分かりませんし、会社の業績が悪くてボーナスがカットされている可能性もあります。

もしくは妻が体調を崩し、専業主婦になっているかもしれません。

 

そういった単純計算では測れないリスクがあることを加味した上で、住宅ローンの負担割合は決定する必要があることを覚えておきましょう。

感酢、まとめ。連帯債務・ペアローンで、最大限の控除を受けよう!

今回ご紹介したのは、私が実際に計算した方法です。

私は税理士ではないので、必ず正確かは分かりませんので、参考程度に留めて置き、自己責任でお願いします。

 

もしより精緻に計算したい場合は、FPの先生に相談するのがおすすめです。

ハウスメーカーにもよりますが、営業費用の中で無料で相談させてくれる場合もあります。

リンク : 1級ファイナンシャルプランナー(FP)に住宅ローン相談をしてみた

 

とは言え、私も連帯医務で住宅ローンを借りますが、この計算方法で負担割合を決めていますので、もし致命的なミスがあれば、私も大きな過ちを犯すことになります。笑

私は「貰える権利があるものは最大限もらっておく」というスタンスなので、補助金や控除等は最大限有効活用したいと考えています。

まぁ、誰しもがそうかもしれませんが。

 

他にも、住宅購入にあたって受けられる控除や補助金等は色々ありますので、都度記事にしていきたいと思います。

金額が大きい買い物なので、少しの差でも金額としては大きくなることもあります。

自分の状況にあわせて、最大限のメリットを享受できるようにしたいですね。

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